人工股関節置換術は、傷んだ股関節の骨を取り除き、人工関節に置き換える手術です。人工関節に置き換えることによって、痛みの緩和や関節動作の改善が期待できます。
人工関節の固定には、骨セメントを用いる方法と骨セメントを用いずに直接骨に固定する方法とがあります。どちらの方法を選択するかは、患者さんの年齢や骨の質、形状、または人工関節の機種によって判断されます。
術後に注意すること
椅子に座って行うと安全にできます。ズボンやスカートの着脱、靴の着脱も同様です。
足を入れる順番は、最初に手術した足から入れてください。脱ぐときは、その逆です。
「ソックスエイド」という補助具を用いると比較的容易に靴下を履くことができます。
椅子に座って行うと安全にできます。
階段の昇り降りは低い階段から練習します。 初めは1段ずつ。
昇るときは手術していない足から昇り、降りるときは手術した足から降りるようにしてください。
なるべくテーブルや椅子を使いましょう。
畳や床に座るときは、台に手をかけて手術した足を後ろに引いてからひざをつきます。
そしてゆっくりと腰をおとします。
抜糸後、傷が治っていることを医師が確認したら浴槽に入れます。
抜糸は、手術後2~3週間経過した頃となります。
マットを敷くなどしてすべらないようにしてください。
椅子(低い椅子は避けましょう)に座って体を洗い、
浴槽へは縁に座ったり手すりにつかまったりして、
手術をしていない方の足から先に入ってください。
日常生活でよく使うものは、できるだけ腰より上の高さに置きましょう。
床のものを拾うときは火バサミを使用するなど、なるべく腰に負担をかけないように、
姿勢をまっすぐにしたままで腰を落としましょう。
個人差がありますが、早い人なら術後3か月を過ぎれば、短距離の運転なら可能です。
オートマチック車がよいでしょう。
重いもの(10kg以上)を繰り返し持ち上げるようなことを避けましょう。
買い物ではショッピングカートを利用して重い荷物を持たないようにしましょう。
洋式トイレを使いましょう。
和式の場合には、専用の採尿コップ等を利用して立って採尿したり、
洋式便座ラックを使用したりすることも良いでしょう。
以下のような症状が現れた場合には、お知らせください。
・関節が腫れたり、痛みが増してきたりした場合
・創部(傷口)が異常に赤くなったり、熱を持ったり、膿や血などが出ている場合
・呼吸困難や胸の痛みがある場合
・38度以上発熱している場合
動きによっては人工関節に大きな負担をかけることがあります。
このような動きは脱臼や人工関節をすり減らしてしまう原因となり得ますので、気を付けましょう。
無理をしないことが人工関節を長くもたせる上で大切です。
以下の事柄に十分注意してください。
・足を組まない、ねじらない
・手術側を下にしない(3週間程度)
・走る、ジャンプなどしない
・風呂で低い椅子に座らない
・股関節を深く曲げない、しゃがまない