病気や外傷などで肩関節の骨や軟骨が本来の機能が果たせなくなった場合、日常の動作に支障をきたすようになります。人工肩関節置換術は、傷んだ肩関節の骨を取り除き、人工関節に置き換える手術です。人工関節に置き換えることによって、痛みの緩和や関節動作の改善が期待できます。人工肩関節置換術には全人工肩関節置換術と人工骨頭置換術があります。
人工関節の固定には、骨セメントを用いる方法と骨セメントを用いずに直接骨に固定する方法とがあります。どちらの方法を選択するかは、患者さんの年齢や骨の質、形状、または人工関節の機種によって判断されます。
リハビリテーション
入院中のリハビリテーション
手術翌日にはベッドから起き、歩くことが可能です。術後数日後より可動域訓練のリハビリを開始します。術後の経過にもよりますが入院は通常2~3 週間程度です。主治医の指示に従って外来にて慎重にリハビリを継続し、2~3ヶ月程度をかけて徐々に通常の生活を再開していきます。手術によって痛みは緩和されますが、得られる肩関節の可動域に関しては術前の関節(特に腱板という筋肉)の状態によって大きく異なります。また人工肩関節全置換術を受けた患者さんは重いものを持ち上げたり、肩を強く引っ張ったりするような活動は避けていただくことが理想的です。
退院後のリハビリテーション
退院後は趣味の時間を持ち、無理をせず楽しみながら少しずつ体を動かしていきましょう。 たとえばガーデニングを行ったり、絵を描いたり、ドライブに行ったり、と好きなことをする中で自然と筋肉が動かされ、リハビリテーションへとつながります。