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人工関節の部位別体験を聞く

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滋賀医科大学医学部附属病院 リハビリテーション部 准教授 児玉 成人 先生
滋賀医科大学医学部附属病院 リハビリテーション部 准教授 児玉 成人 先生

最後の砦として、使命の限り
(取材日:2024年)

病院HP:http://www.shiga-med.ac.jp/hospital/index.html

ドクタープロフィール
【専門分野】
手の外科、足の外科、腫瘍、末梢神経疾患

【趣味】
ランニング 休みの日には体系維持のために10キロほどランニングをしています。また大学時代には「スクールウォーズ」に影響され、ラグビーに励んでいました。社会人になってからも、10年ほどラグビーを続けておりました。

【最近のトピックス】
大谷翔平選手
2023年のWBC優勝は本当に感動しました。子供たちにも大人にも夢を与えてくれる大谷選手は、人としても野球選手としても素晴らしく憧れます。大谷選手のようにストイックに精進しないといけないなと思います。
日々診療にあたる中で心がけていることや注力されていることはありますか。
とにかく最初にわかりやすい言葉で簡潔に患者さんの現状をお伝えすることを心がけています。 私のところに来られる患者さんは様々な病院で診察を受けてこられた後で、「最後の砦」として受診に来られる方がほとんどです。複数の病院を回り、多くの情報を得た結果、不安を抱えてしまった患者さんに、まずは現状を分かりやすくお伝えすることで、治療法にご納得いただき、治療を進めていきます。
診察を進めるなかで、治療の方針が立った患者さんには「任せてください」とお声掛けすると、今までの多くの過程を踏まれているがゆえに、より一層安心された表情をお見受けします。時には涙を流されて喜ばれ、前向きに治療に臨まれる方もいらっしゃいます。
足関節の痛みに対する治療法には、どのようなものがありますか。
症状や変形の程度によって治療法は様々あります。
レントゲンや症状から判断し、軽度の場合であれば、靴に敷くインソールなどを使用し、痛みがでない位置に荷重位置を調整する方法があります。他にもサポーターやお薬など、段階にあわせて手術以外の方法も選択できます。
中~重度になると手術によって治療をしていきます。大きく分けて「低位脛骨骨切り」、「固定術」、「人工足関節置換術」の3つがあります。中程度の患者さんには、足関節の軟骨が残っている部分に荷重を移動させるための骨切り手術を行います。
重度の患者さんであれば「固定術」、「人工足関節置換術」による手術を行います。
固定術は脛骨と距骨の関節面をくっつけて金属で固定する手術です。そして人工足関節置換術は、悪くなった脛骨と距骨の関節表面を削り、金属に置き換え、金属の間に軟骨の代わりとなるポリエチレンを入れる手術です。人工足関節置換術は足関節の治療法としてはまだまだ新しいもので、認知度は低いかもしれません。しかし、痛みを取り除き、回復が大いに期待できる治療方法です。足首の可動域がある中で、痛みが取れるため、軽度な運動も可能になります。
滋賀医科大学医学部附属病院 リハビリテーション部 准教授 児玉 成人 先生
人工足関節置換術はどのようなメリットがあるのでしょうか。
「固定術」か「人工足関節置換術」のどちらが適応となるかは、患者さんのご年齢や活動量にもよりますが、固定術と人工関節では術後の痛みの取れ方が格段に違います。両方とも手術から1年後にはほとんど同じ程度まで痛みが取れて回復しますが、固定術になると、半年~1年程度は回復に時間がかかってきてしまいます。一方で、人工関節は術後3~6か月程度でほぼ痛みがとれ、早期に回復を期待できます。長い目で見れば半年程度かもしれませんが、仕事に早く復帰したい方や痛みによる日常生活の制限にお困りの方には「人工足関節置換術」をおすすめしています。
一昔前までは、重度のリウマチや変形性足関節症に対しては、変形や動きによる痛みをとるために固定術で関節を止めてしまうことが唯一の治療法でした。固定術は完全に足関節の動きを止めてしまうものではないですが、人工足関節に比べると可動域が失われてしまい、痛みはとれるものの、階段昇降など日常動作に影響が出てきてしまいます。 しかし、現在ではひざ関節や股関節同様に足関節にも「人工関節」の手術が可能です。まだ人工足関節置換術に関する情報が少ないことや知らない先生もまだまだ多くいらっしゃいますので、まずはお近くの専門医(足の外科)を受診されて自分の状態を知り、適切な治療を受けることをおすすめします。
入院期間と術後の制限について教えて下さい。
手術前日に入院、術後約3週間で退院可能です。術後1週間はギプスのような外固 定をして、リハビリをしていきます。実際には術後翌日から歩くことも可能ですが、 術後の腫れや術後すぐの歩行練習が怖い方には外固定は外れたのちに歩行練習を進めていきます。ご高齢の方や歩行にご不安がある方などは、希望によってリハビリ期間を延長することもありますが、基本的には早い方は2週間、通常は3週間程度で日常生活に戻ることが可能な手術です。術後3か月程度でほとんど問題なく日常生活をおくれるようになります。
術後の制限については、お仕事に関して制限はありません。ただ、清掃業務や長時間の歩行を伴うお仕事であれば、術後2か月程度は無理をしないでくださいとお声掛けしています。また、趣味やスポーツを楽しみたい方は、ジョギングやゴルフなどの運動であればやってもらって構いません。
滋賀医科大学医学部附属病院 リハビリテーション部 准教授 児玉 成人 先生
印象に残っている患者さんについて教えてください。
整形外科はケガを治すことがメインだと思われますが、私は手・足の外科の他に整形外科で唯一命にかかわることがある骨軟部腫瘍も専門としています。骨軟部腫瘍は10代の患者さんがほとんどで5年生存率が70~80%と言われている病気です。
当時中高生だった患者さんの中には、退院したのちに医療従事者になったと報告に来てくれる方もいて、その時は本当に医者冥利に尽きます。
そして、整形外科の分野で特殊な生死にかかわる分野の治療もしていく中で、自分自身の人生観も変わってきて、「生きている」から「生かされている」という想いを持つようになりました。患者さんを助けることが、自分の使命であり自分の命の限り使命を全うしたいと思っています。人工足関節置換術を検討されている患者さんにも同じく、自分ができる最大限の治療を提供できるよう日々努めています。
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