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人工関節の部位別体験を聞く

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ひざ関節

東邦大学医療センター佐倉病院 整形外科 准教授 中島 新 先生
東邦大学医療センター佐倉病院 整形外科 准教授 中島 新 先生

患者さんの些細な思いに耳を傾け、
安心してのぞめるベストな治療法を
(取材日:2023年)

病院HP:https://www.sakura.med.toho-u.ac.jp/

ドクタープロフィール
【専門分野】 人工関節手術・リウマチ
先生が日々患者さんを診られる中で心掛けていらっしゃることはありますか。
診察の時に、レントゲン写真だけで判断できないような患者さんが何気なく訴えるひざ関節の違和感もしっかりとお聞きするようにしています。治療をしていく中でも小さな違和感が治療法のヒントにもなることもありますので、些細なことも聞き漏らさないよう診療にあたっています。
また、手術後も同様に術後のレントゲン写真だけで良好かどうかを判断するのではなく、実際に動いてみたとき、身体に違和感や痛みなどが無いか、患者さんに寄り添い治療を進めています。
人工ひざ関節置換術の適応となる疾患にはどのようなものがありますか。
「変形性ひざ関節症」「関節リウマチ」「外傷性のけがによる靭帯損傷や軟骨損傷」「骨壊死」などさまざまな疾患に対して人工ひざ関節置換術が適応されます。最も多いのが「変形性ひざ関節症」で加齢と共にひざの軟骨がすり減ってしまい骨と骨がぶつかることで痛みを引き起こす疾患です。
また、ご高齢になると「骨壊死」といって、もともと骨粗しょう症でもろくなった骨に体重がかかり骨が折れてしまう「脆弱性骨折」によって骨に壊死が生じる病気です。
股関節に比べてひざ関節は変形が目に見えてわかりやすく、股関節は球関節といってボールとお椀の受け皿のようになっているため安定した関節ですが、ひざ関節は顆状関節といって平たい板の上にボールが乗っているような構造になっています。 荷重が大きくかかりさまざまな動きに耐えられるような構造をしているのがひざ関節であるため、股関節に比べて変形が強く出る場合が多くあります。
関節の痛みや変形をご自身で判断されるのでなく、まずはお気軽にお近くの専門医にご相談いただければと思います。
東邦大学医療センター佐倉病院 整形外科 准教授 中島 新 先生
人工ひざ関節置換術には年齢による制限はありますでしょうか。
人工ひざ関節手術には、特にご年齢による制限はありません。
今まで私が手術した中で一番若い方では、リウマチにより29歳で手術をされた方でした。若い方になると、人工関節の寿命を考慮し再手術となる可能性がありますが、人工関節は関節の痛みをとる治療法として大変優れており、その患者さんはとにかく痛みから解放されたいという藁をもつかむ思いで人工ひざ関節手術を受けられました。 ご年配の方ですと90代前半女性の患者さんの手術を行いました。自分のことは家族に頼らず自分自身でしたいという思いで手術を決断され、リハビリも大変意欲的に励まれていました。
年齢制限はありませんが、ご高齢になるにつれて併存疾患が多くなったり、合併症のリスクも上がったりする傾向にあります。例えば人工関節手術を受けてひざ関節はよくなったが、腰や股関節がわるいなどひざ関節だけ元気になっても患者さんのメリットを考え ると難しい場合もありますので、そういった場合には無理にはおすすめしておりません。 また、人工ひざ関節は痛みを取り除き、ひざ関節の機能をよくするための手術ですので、我慢を重ねられて変形が強くなったり、ご年齢からリスクが高くなったりする前に人工ひざ関節置換術をご検討いただければと思います。患者さんが安心してベストな治療を受けられるようサポートしていきます。
人工ひざ関節置換手術をされる際の先生のこだわりや大切にさ れていることを教えてください。
痛みが取れるのは人工ひざ関節置換術で最低限求められることであり、患者さんが手術をしたことを忘れられるくらいになるべく自然で本来の機能を取り戻せるような手術ができるよう心がけています。
いくらレントゲン画像上、インプラントが正確に入ったとしても患者さんの持つ違和感があれば患者さんの満足度は低くなります。そのため、なるべく患者さん本来の靭帯を残して、一人ひとりで異なる靭帯バランスなど関節面以外にもこだわりをもって手術に あたっています。
また、軟骨の役割をするポリエチレンや骨の一部の役割を担う金属部分などインプラントの質も以前よりも向上しており、20年以上患者さんの体できちんと機能するといわれています。患者さん一人ひとりでひざ関節の傾きや骨格は異なりますので、インプラントと手術手技の両方にこだわりを持ち、患者さんの特徴にあった自然な動きに戻るように心がけています。患者さんに手術のご説明をする際は実際にお身体に入るインプラントを手に取ってもらい、より安心して手術に挑んでいただけるようにしております。
東邦大学医療センター佐倉病院 整形外科 准教授 中島 新 先生
退院後はどれくらいの頻度で通院を続ける必要がありますか。
退院後は1か月後、3か月後、半年後、それ以降は1年単位で経過観察のために通院いただいております。
関節面だけがよくなっても周りの軟部組織など回復にはある程度の時間が必要です。「半年後には必ず変わってきますから」と患者さんにお伝えしており、術後は焦らずお過ごしいただければと思います。退院後はご不安な方やリハビリが必要と判断された患者さんには転院やご紹介先の病院でのリハビリを続ける場合もあります。
退院後に気を付けるべきことはありますか。
当院で人工ひざ関節置換術を受けられた患者さんの中にはゴルフやテニス、卓球、水泳など趣味のスポーツを存分に楽しまれている方が多くいらっしゃいます。
しかし、激しくジャンプするスポーツや体が接触するようなコンタクトスポーツは人工ひざ関節に大きく負担をかけますので、長持ちさせるためにも控えていただければと思います。
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