大きな病院と違って、クリニックは地域医療に貢献することが大事だと思っています。
実際軽い症状で来られても、治っているかどうかまでしっかりと確認するようにしています。「また痛かったら来てくださいね」ではなく、「もう何ともありません！」という状態になるまで診察することを心掛けています。

クリニックであるからこそ、最初の外来受診のハードルが高くありませんし、リハビリも充実しています。また、保存療法だけでは難しい場合にも、手術をはじめとする治療も提供できるように整っています。
独自の取り組みとしては、痛みでだけでなく動きや動作まで改善できるように指導を行っていることです。例えば、膝の痛みで来られた患者さまには足首は固くなっていないかなど、膝以外の部位も診ています。他の部位が悪くなっていることに起因する関節の痛みである場合もあるので、動作指導やストレッチ指導もしています。

軽い外傷から変形性膝関節症、スポーツによる靭帯損傷、半月板損傷などがあります。
特に変形性膝関節症は膝のクッションになる部分が傷むことによって起こる疾患なので、ケガの後などで若い方も患う可能性はありますが、加齢性の変化も疾患の理由に挙げられます。 原因なく変形性関節症を患われるケースには、閉経後の女性患者さんが多くいらっしゃいます。軟骨を守るホルモンの中に女性ホルモンがあげられますので、やはり閉経によって女性ホルモンの減少が起こり変形性関節症を誘因する事があります。
また、この疾患は肉体労働やスポーツを激しくされていた男性にも見られる疾患ですので、ご高齢の方だけでなく中年の方もいらっしゃいます。

まず皆さんに共通してスタートするのは、「運動療法と動作指導」になります。
その次にリハビリと並行して、注射をはじめとする軟骨を保護する効果のあるお薬を使った保存治療を行います。
当院の特徴としては、変形性膝関節症によって軸のブレ、例えばO脚やX脚になってしまっている方には、「骨切り術」を用いた手術を積極的にお勧めしています。もうどうしても骨切り術では間に合わないという方には「人工膝関節」をお勧めし、治療を進めております。

関節の痛みを取り除くことに関しては、大変有効的なものです。
また術後の満足度も非常に高い治療法です。
痛みで長く歩けない方や階段の上り下りがつらい方など膝の痛みで長くお悩みの方が、人工関節置換術を受けられた後「痛みが取れた！」と喜ばれる方が多くいらっしゃいます。
しかし、最初からすべての方に人工関節手術をお勧めするわけではなく、症状のステージに合わせた治療方法をお勧めしています。

私は日本人にあった機種の人工関節を選ぶようにしています。骨の大きさだけでなく、形も西洋人と日本人では異なりますので、日本人向けに開発された日本人の骨格に合う機種を使うようにしています。
また、人工膝関節手術の後に「痛みは取れたけど膝が抜けそうで怖い」「何か違和感を感じる」などそういった症状が少しでも出ないように、患者さまの骨に合った人工関節を用いて術後のバランスを意識しています。
そして、基本的な注意点ではありますが、感染による再手術とならないよう指針に沿って徹底的な感染対策を行っています。

２０年間我慢していて、８５歳を超えていよいよ痛みが酷く、辛くなったので手術を受けたいとお越しになった患者様です。
その方は８５歳を超えて両ひざとも人工膝関節手術を受けられましたが、退院時は歩くのが早すぎて困るくらい元気になって帰られました。
もう９０歳くらいになられていますが「こんなに治るなら、もっと早く手術を受ければよかった」とお話下さいました。