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医療法人大雄会 総合大雄会病院 整形外科 人工関節センター診療部長 大谷真史 先生
医療法人大雄会 総合大雄会病院 整形外科 人工関節センター診療部長 大谷真史 先生

「曲がる膝」を目指し、
患者さまとご家族に寄り添った治療を
(取材日:2022年)

病院HP:https://www.daiyukai.or.jp/

ドクタープロフィール
専門分野: 整形外科、関節外科(人工関節・リウマチ)

趣味: 音楽鑑賞
洋楽・ジャズ・クラッシックなど様々なジャンルの音楽を聴きます。

最近のトピックス: サッカーワールドカップ・コロナウイルス
試合自体は見ていなかったんですが、朝起きてニュースを見て驚きました。
コロナの蔓延状況も落ち着いてきてはいますがやはり引き続き気になっているニュースにはなります。
病院独自の取組み、病院の特色などを教えて下さい。
人工関節センターとして「曲がる膝」を目指しています。
患者さんにとって日常生活が過ごしやすい、安定した膝となるよう日々取り組んでいます。主に人工膝関節手術に用いる機種は、国産で日本人の体に合ったデザインのインプラントを使用し手術を行っています。日本人本来が持つ生理的形状を基に開発されている機種を用いることで、患者さんの骨形状にあったサイズを選択することができ、従来の機能回復を目指します。
また、コロナ前には講堂で運動療法講座など市民公開講座を行うなど、患者さんやご家族の方も気軽に疾患や治療法を知る機会を設けていました。
どのような症状や疾患で受診される方が多いですか。
この地域では、開業医の先生のもとで保存療法をある程度されたのち、手術が必要となった段階で受診される方が多くいらっしゃいます。
疾患としては「変形性膝関節症」の方が最も多いです。股関節にも「変形性股関節症」という疾患があります。股関節に比べて、膝関節では保存療法として注射や筋力トレーニング、お薬、サポーターなど様々な治療があります。ですので、様々な治療をされたうえで手術を受けるため受診される方が多いですね。
また、患者さんご自身だけでなくご家族と一緒に来られる方もいらっしゃいます。膝や股関節などの関節を含む運動器の機能低下や疾患は、自立した生活を妨げ、要支援・要介護に繋がる場合があります。ですので、患者さんご自身の身の回りだけでも一人でできるようにとご家族の希望もあって受診されに来ることもあります。
医療法人大雄会 総合大雄会病院 整形外科 人工関節センター診療部長 大谷真史 先生
「変形性膝関節症」を発症する原因にはどのようなものが挙げられますか。
加齢によるものもありますが、リスク因子の1つには体形が挙がられます。やはり肥満傾向にある場合、膝関節には大きな荷重がかかります。
また、疾患の特徴として男性よりも女性の割合がとても大きいです。ホルモンバランスの影響もあり、比率で言うと約7:3から6:4の割合で女性が多く発症されます。
人工関節手術にコロナウイルスの影響は何かありましたか。
コロナ前と比べて症状の程度が悪くなってから来られる方が増えた印象を受けています。
コロナウイルスの影響で外出自粛傾向にあり、患者さんご自身が病院に気軽に行かれることも少なくなってきているように感じます。
ですので、程度がかなりひどくなるまで我慢を重ねられた後、ようやく受診に来られる方もいらっしゃいます。痛みを我慢して悪化し、泣く泣く受診されるよりも、まず痛みを感じたら受診されるのが良いかと思います。悪化してからの手術となると、術後のリハビリが通常よりも大変になる場合もあります。手術のタイミングも術後に影響してくることがありますので、まずはお気軽にご相談ください。
医療法人大雄会 総合大雄会病院 整形外科 人工関節センター診療部長 大谷真史 先生
手術が必要となるのはどのような状態でしょうか。
基本的には患者さんご本人が痛みによって日常生活どれだけ困っているかというところが、一つの判断基準になるかと思います。また、患者さんご自身が日常どれだけの活動量を望まれているかにもよります。
レントゲンの画像上に変形が大きく見受けられる場合にも、ご家族のサポートで生活ができている方もいらっしゃいます。

またその逆で、お一人暮らしで動けなくなってから手術をするのではご自身が困ってしまうために、重症化する前の適切な段階で手術を受けられる患者さんもいらっしゃいます。検査の画像上で軟骨のすりヘリや変形などを確認することもとても大切なことですが、患者さんご自身の状態や状況から判断していくことも必要になってきます。
患者さんが望まれるゴールに向けて、患者さんご本人とご家族に寄り添い手術を含む治療法をご提案しています。
人工関節手術は持病などの影響で受けることができない場合がありますか。
基本的には制限はありませんが、認知症が強く手術後のリハビリができないような状態であれば難しいです。
手術前の状態より良くしようと我々も取り組んでいますが、リハビリができないと手術前よりも悪くなってしまうようなことになりかねません。 また、レアケースにはなりますが重度の心臓病などの影響によって人工関節手術が行えない場合もありますので、まずは専門医にご相談いただければと思います。

手術による合併症のリスクについてもご質問頂くことがありますし、もちろん同意書に沿ってお話をさせて頂いております。
しかし、リスクのお話ばかりでは不安を覚えられる方も多いと思います。人工関節手術はインプラントや手術器械の進歩により患者さまのご負担も昔に比べずいぶんと軽くなっています。手術と聞くと痛みやリスクなどを心配される方が多くいらっしゃいますが、決して怖いものではなく「早く手術を受ければよかった」とおっしゃる患者さんもよくいらっしゃいます。
医療法人大雄会 総合大雄会病院 整形外科 人工関節センター診療部長 大谷真史 先生
人工関節手術後になにか制限はありますでしょうか。
無理のない範囲でできることは、どんどんやっていただいて大丈夫です。
せっかく痛みが取れて、日常生活が送れるようになったのですから制限なくお仕事に趣味など楽しまれることが医師としても何よりです。
しかし、無理はしないで下さいとはお伝えしています。例えば、患者さんの状態によっては正座ができるまで機能回復される方もいらっしゃいますが、元々膝が固く正座ができない方が手術後に正座などの無理な体制をとると筋断裂のリスクもあります。
人工関節の寿命自体は、医療の進歩によって昔よりも格段に伸びています。例えば、軟骨の役割をするポリエチレンに、抗酸化作用のあるビタミンEを配合して摩耗を少なくする技術により、長期の耐久性が期待されています。
一般的に人工関節の寿命は15年から20年といわれていますが、患者さんの過ごし方によっても多少前後します。飛んだり跳ねたりする激しいスポーツをされる際には、事前に医師に相談し、リスク等もご理解いただいた上で行っていただければと思います。
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