
地方独立行政法人 東京都立病院機構 東京都立大塚病院 整形外科 部長 豊島 洋一 先生

痛みをなくして、今を楽しんでほしい。そのための人工関節です。
(取材日:2024年)

【専門分野】
人工関節、関節リウマチ、足の外科
【休日の過ごし方】
熱帯魚の水槽の掃除
【最近うれしかったこと】
おいしいご飯を食べたとき
人工関節、関節リウマチ、足の外科
【休日の過ごし方】
熱帯魚の水槽の掃除
【最近うれしかったこと】
おいしいご飯を食べたとき
人工股関節置換術はどのような患者さんが主に受けられますか。
変形性股関節症の患者さんが主になります。
変形性股関節症は、関節面の軟骨がすり減って骨の変形が進む病気ですが、痛みで歩けないなど日常生活や活動に支障のある方が適応となります。
病状の度合いやレントゲン所見などを参考にして決定します。
変形性股関節症は、関節面の軟骨がすり減って骨の変形が進む病気ですが、痛みで歩けないなど日常生活や活動に支障のある方が適応となります。
病状の度合いやレントゲン所見などを参考にして決定します。
人工股関節置換術について教えてください。
身体に負担の少ない低侵襲なALS(仰臥位前側方進入術:ぎょうがいぜんそくほうしんにゅうじゅつ)という手術方法で手術を行っています。股関節の後ろにある筋肉を切らずに、中殿筋(ちゅうでんきん)と大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)の間から侵入し、仰向けに寝たままで手術を行います。仰向けで手術をしますので、目と手で骨盤をしっかりと確認しながら手術を行うことが可能になります。
骨盤側には人工股関節のソケットを入れますが、この手術法ではより正確な角度で設置することが可能になります。
また、手術をすることで、脚長差といって、微妙に左右の足の長さが変わることがありますが、手術中に両足の長さも確認しやすく、脚長差を極力なくすことができます。
手術前に、患者さんに人工股関節の現物をお見せしますと、大きくて重たいと驚かれるのですが、手術を受けた患者さんは「人工物が入っている違和感は全くない」と口を揃えておっしゃいます。術後に「自分の股関節と同じです」とおっしゃっていただけると、我々も嬉しく思います。
デメリットである再置換術への不安を抱えることなく、違和感なく過ごしていただけるのなら、メリットを最大に感じていただけるのかなと思います。
骨盤側には人工股関節のソケットを入れますが、この手術法ではより正確な角度で設置することが可能になります。
また、手術をすることで、脚長差といって、微妙に左右の足の長さが変わることがありますが、手術中に両足の長さも確認しやすく、脚長差を極力なくすことができます。
手術前に、患者さんに人工股関節の現物をお見せしますと、大きくて重たいと驚かれるのですが、手術を受けた患者さんは「人工物が入っている違和感は全くない」と口を揃えておっしゃいます。術後に「自分の股関節と同じです」とおっしゃっていただけると、我々も嬉しく思います。
デメリットである再置換術への不安を抱えることなく、違和感なく過ごしていただけるのなら、メリットを最大に感じていただけるのかなと思います。
入院期間はどれくらいですか?
早い方なら1週間程度で退院可能です。
ALSという手術方法によって皮膚の切開が小さく、基本的に筋肉を切らないため回復はとても早いです。
手術の翌日には歩行練習を開始し、杖で歩けるようになるのが退院の目安です。
場合によっては術後3日程度で退院、転院する施設もありますが執刀させていただいた私たちのそばでリハビリをしっかり受けて、安心して退院できるようサポートいたします。
ALSという手術方法によって皮膚の切開が小さく、基本的に筋肉を切らないため回復はとても早いです。
手術の翌日には歩行練習を開始し、杖で歩けるようになるのが退院の目安です。
場合によっては術後3日程度で退院、転院する施設もありますが執刀させていただいた私たちのそばでリハビリをしっかり受けて、安心して退院できるようサポートいたします。
退院後、日常生活に制限や通院の必要はありますか?
大きな制限はないと考えてよいでしょう。合併症で代表的なものは後方へ「脱臼」ですが、股関節の前側方からの侵入するALS という手術方法は、前後ともに筋肉を切りませんし、手術中も患者さん一人ひとりの脱臼しやすい肢位を十分に確認し、人工股関節を設置しますので、脱臼リスクはずいぶん低減しています。
また当院では、年に一回誕生日の月に検診を行っていますが、早期の異常は自覚症状がないことがほとんどですから、レントゲンで異常はないかを確認します。そして半年に1度、1年に1度は、違和感がなくても検診に来ていただきたいです。何かあったとき早期発見すれば治療の選択肢も広がります。
安心のためにも、ぜひ定期検診を受けてください。
また当院では、年に一回誕生日の月に検診を行っていますが、早期の異常は自覚症状がないことがほとんどですから、レントゲンで異常はないかを確認します。そして半年に1度、1年に1度は、違和感がなくても検診に来ていただきたいです。何かあったとき早期発見すれば治療の選択肢も広がります。
安心のためにも、ぜひ定期検診を受けてください。
人工関節を長持ちさせるためには、どのように術後過ごすこと が大切ですか。
基本的に人工関節の手術は、できるだけ元通りの生活をしてもらうこと、自分でできることは何でもしてもらうことが一番の目的であり目標ですから、
あまり「これしちゃダメ」とか「こうしなさい」というのは理想ではありません。
せっかく手術をされたのですから、「今まで痛みのためにできなかったことをどんどんやってください」と、それぐらい自信をもってお勧めできるようになっ ていますし、そのための人工関節だと思います。人工股関節置換術を受けられた後も歩いたり、階段の昇り降りをしたり、日常的な動きはどんどんしていただいて大丈夫ですし、水泳、ゴルフ程度のスポーツなら十分にしていただけます。年齢に関係なく、ぜひ生活を楽しんでいただきたいです。
但し、体のぶつかり合うコンタクトスポーツやジャンプ、ジョギング、マラソンといった、股関節に衝撃を与え続けるようなスポーツ活動や不自然な姿 勢は避けてください。また、体内での感染を避けるために、虫歯など細菌性の病気は早めに治療をお願いします。
さらに、股関節に負担がかかるという意味では、肥満にも気をつけられたほうがいいでしょう。
あまり神経質にならず、人工股関節を大事にするという心構えを大切にしながら、ぜひ前向きな日々を送ってください。
せっかく手術をされたのですから、「今まで痛みのためにできなかったことをどんどんやってください」と、それぐらい自信をもってお勧めできるようになっ ていますし、そのための人工関節だと思います。人工股関節置換術を受けられた後も歩いたり、階段の昇り降りをしたり、日常的な動きはどんどんしていただいて大丈夫ですし、水泳、ゴルフ程度のスポーツなら十分にしていただけます。年齢に関係なく、ぜひ生活を楽しんでいただきたいです。
但し、体のぶつかり合うコンタクトスポーツやジャンプ、ジョギング、マラソンといった、股関節に衝撃を与え続けるようなスポーツ活動や不自然な姿 勢は避けてください。また、体内での感染を避けるために、虫歯など細菌性の病気は早めに治療をお願いします。
さらに、股関節に負担がかかるという意味では、肥満にも気をつけられたほうがいいでしょう。
あまり神経質にならず、人工股関節を大事にするという心構えを大切にしながら、ぜひ前向きな日々を送ってください。
