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人工関節の部位別体験を聞く

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医療法人慶仁会 城山病院 整形外科副部長・おおた人工関節センター長 岡本 怜士 先生
医療法人慶仁会 城山病院 整形外科副部長・おおた人工関節センター長 岡本 怜士 先生

患者さんのお話から患者さんのニーズに沿って
(取材日:2024年)

病院HP:https://www.shiroyama-hospital.or.jp/department/department14.html

ドクタープロフィール
【趣味・休日の過ごし方】
「空港に行くこと・スキューバダイビング」
飛行機を見るのが好きで、空港近くの公園やデッキで飛行機を眺めています。
また、最近はなかなか機会がないですが、宮古島で洞窟を楽しむダイビングにも行きました。

【最近気になるトピックス】
「研修医時代の同期が衆議院選に出馬し、当選したこと」
別領域での同期の活躍に、刺激をもらいました。
どのような症状やタイミングで患者さんは来院されますか。
お若い方は働き盛りということもあり、日常生活よりも痛みが仕事に影響しはじめたら、早い段階で受診に来られる傾向があります。しかし一方で、ご高齢の方はかなり我慢強い傾向にあり、変形や痛みのレベルも重症化してからようやく外来受診に来られる方も少なくありません。
痛みは日常生活やお仕事、趣味にまで制限をかけ、重症化すれば治療の選択肢も少なくなってきてしまいます。痛みを我慢するのではなく、少しでも早く痛みの原因を知り、股関節専門の先生のもとで適切な治療を受けられることをおすすめします。
股関節の痛みにはどのような治療法がありますか。
痛みや関節の変形具合によって、治療にも段階があります。あまり変形や痛みが強くない初期の場合には、リハビリなどの保存的治療から始めます。そのなかで股関節の機能を保つための運動療法をお伝えし、おうちでもトレーニングできるよう指導しています。そのほかにも杖をついて、荷重を分散させることで痛みの箇所に体重をかけないようにする、痛み止めを使うなど手術以外の方法から治療を進めていきます。
股関節はひざ関節と異なり、ヒアルロン酸の注射やサポーターでの固定など保存療法が難しい関節でもあります。保存療法を一定期間してもよくならない、痛みによって日常生活にも支障がでるようになったら、人工股関節置換術を検討すべきタイミングです。指標として一番わかりやすいのは、痛みにより日常生活動作が制限されてしまうかどうかです。、歩くだけで足を引きずる、50mさえ歩くことが難しくなる等、日常生活に支障が出るような症状の場合は手術を前向きに検討していただければと思います。
私も学生時代に、祖母に人工関節置換術をすすめ、手術を受けてもらいました。祖母の場合、両脚とも悪くしており少し期間をあけて左右とも人工関節置換術を行いました。現在93歳となりましたが、今も痛みなく、この歳で杖なしで、独歩で歩くことができています。手術をしたことを忘れているくらいです(笑)。
私自身祖母の経験を通して感じたことは、人工ひざ関節置換術は患者さん本人の痛みをとるだけでなく、患者さんの周りやご家族にとっても良い治療法であるということです。現在少子高齢化社会となり、介護の問題もよく取り上げられますが、1人で歩けないと車いすの乗り降り、ベッドからの離床、トイレに至るまで家族はさまざまな介助が必要になってきます。一人で歩けて、生活ができることはご自身にとっても、ご家族にとっても非常に大切なことです。
医療法人慶仁会 城山病院 整形外科副部長・おおた人工関節センター長 岡本 怜士 先生
手術に対する先生のこだわりや大切にされていることはなんですか。
患者さんのお話をよく聞いて、治療に求めているゴールを把握したうえで、治療にあたるようにしています。外来受診に来られる際、ドアを開けて入られるときの足の運び、歩き方や患者さんの顔色、表情からも患者さんの状態はわかります。患者さんとよくお話しし、仲良くなって治療にも安心して挑んでいただけるよう心がけています。
また手術の方法としては、患者さんのお身体に負担が少ないよう筋肉や腱を切らない方法で手術を行っています。切らずに手術をするということで術後の痛みが少ないことはもちろんですが、人工股関節置換術後のリスクとしてあげられる「脱臼」のリスクを避けることができます。これにより、手術後もスムーズにリハビリを行うことができ、早い方は2週間程度で退院も可能です。
人工股関節置換術にはなにかリスクがあるのでしょうか。
感染症がメインで挙げられますが、感染の割合は非常に低く、人工ひざ関節置換術と比べても少ないです。
また、若い方であれば人工関節の耐久年数から“再置換術”のリスクも必ずお話しています。人工関節置換術という手術は、痛みをとって「また歩くようになるため」の前向きな手術です。お若い方には特にお話をしますが、50歳からの10年と80歳からの10年では気力も体力も異なってきます。どちらの10年も大切ですが、50歳からの10年はできることの幅、やりたいことの幅は非常に大きいと思いますし、私であれば50歳からの10年をより濃く、大事に生きたいと思います。 再置換の可能性もありますが、限られた人生を“今”痛みなく、制限なく過ごすためにも人工股関節置換術の検討をおすすめします。
また、人工関節自体も医療の進歩によって20年以上の耐久年数も持つようになってきました。決して、患者さんを途中で見捨てることはありませんし、術前から退院後の定期健診までしっかりと患者さんお一人お一人をサポートしていきます。手術は患者さんだけでなく、ご家族にとっても大きなことです。最後まで責任をもって寄り添いますので、ご安心ください。
医療法人慶仁会 城山病院 整形外科副部長・おおた人工関節センター長 岡本 怜士 先生
手術後の日常生活で気を付ける事はなにかありますか。
特に制限は設けていません。歩けるようになるために、人生をもう一度楽しむために受ける手術ですので、制限なくご趣味も楽しんでいただければと思います。術後に定期健診に来られる患者さんからは、お孫さんを抱っこされているご様子やご趣味のお話などさまざまお伺いしています。
また実際にも、人工股関節置換術を受けたスポーツ選手の中には、テニスではウインブルドンで活躍している選手やプロゴルファー、空手の選手なども術後競技に復活し、活躍している選手が沢山いらっしゃいます。
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