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人工関節の部位別体験を聞く

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医療法人藍整会 なか整形外科京都北野本院 院長 田巻 達也 先生
医療法人藍整会 なか整形外科京都北野本院 院長 田巻 達也 先生

早期に社会復帰可能で、制限のない日々を
(取材日:2024年)

病院HP:https://naka-seikei.com/

ドクタープロフィール
【専門分野】
外傷外科、人工関節(膝、股関節)

【趣 味】
水泳
学生時代から始めた水泳を現在もしています。当院では「遠泳部」でチームをつくり活動をしています。
今年もびわ湖横断リレー水泳大会に「なか整形外科 遠泳部」として参加します。
本大会への参加も今年で3年目になりました!

【最近のトピックス】
ARナビゲーションシステム
コンピューターシステムを用いたARナビゲーションシステムによって、今までより安全で正確な手術ができ、どこまで患者さんの回復に寄与できるか興味があります。
人工関節置換術においてただ歩けるだけでなく、その後どこまで運動可能になるのかが我々の課題です。
患者さんは股関節にどんな症状を抱えて病院に来られますか。
患者さんの多くが関節の「痛み」と「動きの制限」で受診されます。足の長さの左右差(脚長差)にご自身が気づかれて来院されるケースもあります。
患者さんの中には、ぎりぎりまで痛みに耐え続けてきたために股関節変形をきたしてしまった患者さんもいらっしゃいますが、昨今では「趣味のスポーツをもっと楽しみたいから」「仕事に早く復帰したいから」など手術を選択される理由は痛みだけによるものではありません。患者さんご自身が前向きに手術をご検討されるケースも増えてきています。
現在、股関節の痛みでお悩みの方で、「30分以上連続しての歩行が難しくなった」「痛み止めの薬を毎日飲むようになってきた」「靴下を履くなどの日常生活動作にも制限がでてきた」など、日常できていた軽い運動にも痛みを伴う場合には、一度受診の上、人工股関節置換術を検討されることをおすすめします。
医療法人藍整会 なか整形外科京都北野本院 院長 田巻 達也 先生
持病や年齢で人工股関節置換術を受けられないケースはありますか。
一概に年齢や持病で、人工関節置換術が受けられないということはありません。私がいままで手術してきた中で一番若い患者さんは22歳、ご高齢の患者さんは94歳の方です。それぞれ人工股関節置換術に至った理由は異なりますが、術後の痛みも取れて現在も元気に過ごされています。
また、当院は整形外科単科の病院になりますので、例えば糖尿病などで他科との連携が必要な場合には、近隣の他院との医療連携をとりながら手術を実施しています。
一方で、単科病院だからこそ多職種連携が図りやすく一貫して治療を行える環境があります。例えば、リハビリを担当する理学療法士が実際の手術を見たり、手術室の看護師が外来も担当したりなど、それぞれのスタッフが患者さんの術前から術後までを一貫してサポートできる体制を持っています。大きい病院であれば、外来・手術・リハビリ・退院後等それぞれで担当が分かれていることが多いですが、病院スタッフが一連にして治療を行えることにより患者さんのご負担やご心配が少なく手術に臨んでいただけております。
人工股関節置換術をされる際にこだわられているポイントはありますか。
手術方法には、こだわりをもって治療にあたっています。ひとことで人工股関節置換術と言っても手術方法は様々あり、私はその中でも仰臥位前方進入法(DAA アプローチ) という股関節の前方から筋肉や腱を切ることない、体に負担の少ない方法で行っています。この方法で手術を行うことで術後翌日から荷重をかけることが可能となり、リハビリもスムーズに開始することができます。また、患者さんにとってこの手術方法の最大のメリットは、術後に日常生活においての制限がなく、早く社会復帰ができることです。その他の手術方法ですと、姿勢によっては脱臼のリスクを伴うことで、運動にも制限がかかる場合がありますが、この手術方法ではそれはありません。
医療法人藍整会 なか整形外科京都北野本院 院長 田巻 達也 先生
クリニカルパスや手術後の退院までの流れを教えて下さい。
多くの病院では、入院から退院に至るまでのクリニカルパスが約2週間で組まれていますが、当院ではクリニカルパスを組んでおらず患者さんそれぞれの回復状況や退院後のお仕事などのご事情を考慮しながら、ひとりひとりの患者さんに合わせた退院までの流れを組んでいます。
平均入院日数は約7日であり、回復状態の良い患者さんの中には、最短2日で退院可能な方もいらっしゃいます。
他院と比較され、入院期間の短さに驚かれる患者さんもいますが、ご自身に不安がなければ入院期間をむやみに伸ばす必要はありません。
いままで手術を受けられた患者さんの中にも、早く仕事や趣味に復帰したい患者さんがわざわざ遠方から当院までこられて、手術を受けられるケースもございました。お仕事柄、ご家族の介護やご自宅のペットのお世話など長時間の入院が難しい方も手術をご検討される後押しになれたらと思います。

※クリニカルパス… 標準的な入院から退院までの治療・検査のスケジュールを記述した計画表です。
医療法人藍整会 なか整形外科京都北野本院 院長 田巻 達也 先生
印象に残っている患者さんはいらっしゃいますか。
50代女性でクラシックバレエのプロとしてご活躍されている患者さんです。こちらの患者さんの場合、人工股関節置換術後も開脚動作が可能であり、現在もご活躍なさっています。その他にも、今まで人工股関節置換術を受けられた患者さんのなかには、現役の卓球選手もいらっしゃいます。
人工股関節置換術は患者さんの満足度が非常に高い手術です。フットサルやバレーボールなど一昔前では、人工股関節置換術後に制限されていたスポーツも人工関節自体の材質改良や手術方法の進歩によって可能性が広がってきています。
ただし、術後3か月は筋肉など軟部組織の傷や人工関節自体が安定するまで、お身体に負担がかからないようにしてお過ごしいただければと思います。例えば、転倒や身体的接触を伴うコンタクトスポーツなどはお控え下さい。当院ではその後は患者さんの状況次第ではありますが、特に制限は設けておりません。
人工関節や手術に対して怖いもの、痛いものというイメージが強い方もまだまだいらっしゃいますが、人工股関節置換術は早期復帰可能な手術ですので、ご不安な方も一度受診いただきお身体の状態を知っていただけたらと思います。
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