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人工関節の部位別体験を聞く

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独立行政法人 国立病院機構 栃木医療センター リハビリテーション科医長 内田勲先生
独立行政法人 国立病院機構 栃木医療センター リハビリテーション科医長 内田勲先生

チーム医療で患者様の早期社会復帰を実現します。
(取材日:2022年)

病院HP:https://tochigi.hosp.go.jp/index.html

ドクタープロフィール
専門分野:股関節外科・下肢スポーツ外傷・人工関節
趣味: ゲームとトレーニングです。
ゲームは病院内の職員でチーム組んでやっています。今はスプラトゥーンをみんなでやっています。
また、最近娘が生まれましたので娘と過ごす時間も多くなりました。
最近のトピックス: 生活用品の値上がりについて
食品をはじめ生活用品が全般値上がりしてしまっていますね。
病院理念に“信頼”“貢献”“協働”という言葉ありますが、先生が日々患者さんを診られる中で心掛けていらっしゃることはありますか。
診療や治療は私一人でできるものではありませんので、コメディカルやリハビリ職員と診療方針や理念をしっかりと共有することを心掛けています。チーム医療として、治療に関わるすべての職員が同じ方向を向いて進められるようにコミュニケーションの取り方も意識しています。
栃木医療センターは二次救急の病院であり、整形外科で言うと6人の常勤医師で年間1000件近くの手術を行っています。栃木県のなかでもこの件数を行っている病院は少なく、外傷の手術対応も非常に早いため、ほぼ毎日手術を行っています。もちろんこれは麻酔科や病棟、リハビリ科など様々な協力あってのものです。患者さんが一日でも早く治療を受けて社会復帰できる体制を実現しています。


※コメディカル・・・医師を除く医療従事者の総称。【例】看護師,保健師,理学療法士,作業療法士,栄養士,管理栄養士,救急救命など
独立行政法人 国立病院機構 栃木医療センター リハビリテーション科医長 内田勲先生
歩けないくらい股関節が痛むのは、どのような疾患が考えられますか。
まず考えられるのは「変形性股関節症」です。
その他にもご高齢になると、「急速破壊型股関節症」と言って急に大腿骨頭が崩れてしまう病気が挙げられます。アルコールやステロイドの起用がある方であれば、「大腿骨頭壊死症」、一過性の「大腿骨萎縮」などさまざまな原因が考えられます。
変形性股関節症の原因について教えて下さい。
加齢やアルコールやステロイドの起用などが原因となる場合もありますが、日本人の場合だと臼蓋形成不全と言って子供の頃に上手く臼蓋側がうまく形成しないまま大人になってしまい、股関節疾患を引き起こすことがあります。昔は検診自体が発達していなかったことや、股関節を伸ばして固定する「巻おむつ」文化が臼蓋形成不全を引き起こしてしまったのではないかと言われています。
最近でも赤ちゃんを包み込む形のおくるみなどが臼蓋形成不全を起こすとして話題になっていました。このように関節の動きを抑制してしまうと十分な発達のまま大人になってしまう事があります。その臼蓋形成不全が50~60代になって変形性股関節症として発症してしまう事が多いのです。
独立行政法人 国立病院機構 栃木医療センター リハビリテーション科医長 内田勲先生
人工関節手術が必要になる目安について教えて下さい。
「横になっているだけなのに痛みを感じる」など自発痛の強い場合は、人工関節手術を行った方が良いと判断します。
また、人工関節手術を受けられる患者さんはご本人というよりもご家族など周りからの声で診察に来られる方が多くいらっしゃいます。「お母さん、歩き方が変だよ」とご家族に言われて受診され、その後に人工関節手術を受けられる方も非常に多いです。
変形性股関節症は徐々に変化がみられる疾患である為、患者さんご本人ですらすぐに気づきづらいものでもありますので、患者さんご本人だけでなくご家族の声も重要になります。
先生が行われている人工股関節手術について教えて下さい。
最小侵襲前方進入法(AMIS)という手術方法を用いて手術を行っています。
前方(お腹側の太もも)から手術を行いますので、基本的に一切筋肉を傷つけることなく行うことができます。この手術方法は脱臼と関わりのある筋肉を切る必要がないので脱臼のリスクも低くなります。
また、筋肉を傷つけることなく皮膚も7cm程度しか切開しない為、術後の痛みは少なく済み、手術時間も約1時間10分、早ければ50分程度終わります。
患者さんの負担が非常に少ないため、状態にもよりますが翌日から階段昇降が可能な場合もあります。
標準は術後10日ほどで退院としていますが、状態が良い方の中にはわずか5日で退院される患者さんもいらっしゃいます。
独立行政法人 国立病院機構 栃木医療センター リハビリテーション科医長 内田勲先生
術後のリハビリ内容について教えて下さい。
手術翌日には、平行棒を使ったリハビリをスタートします。流れとしては、術後1日目に平行棒での歩行、2日目にサークル歩行、3日目には通常の歩行訓練、4日目からは階段昇降などリハビリを進めていきます。
通常術後10日間で退院としていますが、中には状態が良く5日で退院される方もいらっしゃいます。ご年齢にかかわらず、日常的に運動している方ほど早期退院されるケースが多く、術後翌日には階段昇降のリハビリまで進んでいることも多いです。
最小侵襲前方進入法(AMIS)という手術の方法によって、術後の痛みが少ないのでリハビリも早期に進めることができます。術後の傷口の保護にも工夫をしており、とにかく痛みをなるべく感じさせないように工夫をしながら早期退院に向けリハビリをスムーズに行えるようにしています。
印象に残っている患者さんについて教えてください。
65歳の方で、両側で変形性股関節症を発症されていた患者さんです。
こちらの患者さんは普通に座ることも難しいほど変形が強くみられた方でしたが、手術翌日立ち上がった際、「痛くない」と涙を流されていた姿は非常に印象に残っています。
病院が苦手で億劫な患者さんは多くいらっしゃいますが、股関節や膝の痛みを我慢していると今までは問題のなかった他の関節も悪くなってしまう場合があります。ですので、お早めに専門医にご相談頂くのが一番です。
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